クリスマスになると、教会のミサに行きたくなります。
私はクリスチャンではないのですが、クリスマスのミサが好きなんですよね。
カナダで数回、カソリックとプロテスタントの教会に行きました。
カソリックの教会の方が伝統がありそうで私は好きなんですけど、プロテスタントの教会も教会内の雰囲気が違うだけで、聖歌隊、牧師さんのお説教と内容はほとんど同じ。
一番印象に残っているのが、カナダに来たての頃に私が最初に行ったミサです。
むかーし私が住んでいたアパートのすぐ近くに、石作りのいかにも歴史がありそうな、大きな教会がありました。
その当時住んでいたアパートはダウンタウンに歩いて行ける距離で、ショッピングやチャイナタウンに行く時は、その教会の前を通ってダウンタウンに行っていました。
でもいつも通るたびに教会のドアが閉まっていたので、一度も中に入ったことはありませんでした。
クリスマスも近いある日、通りに掲げられた教会の掲示板にイブのミサの告知が目に留まり、興味があったので時間をチェックすると夜中の12時。
遅い時間だけど歩いてすぐに行ける距離だし、中を覗いてみるいい機会だったので、1人で行ってみることにしました。
真夜中の12時、クリスマスイブ。
歩いて教会に行くと中は思っていたより広く、内部も石造りで高い天井に宗教画のステンドグラスの窓、それに祭壇の後ろには大きなパイプオルガンがありました。
柱にはちょっとしたクリスマスらしいデコレーションがしてあり、クリスマスイブとあって席を見つけるのが難しいほどの混雑。真夜中なのに子供連れも。
空いてる席を見つけようとふと回りを見渡すと…
みんなちゃんとした装いをしているではないですか~。
それに比べてほとんどパジャマ姿で来た私。
近所の町内会のお祭りに行く気分で出かけたのが間違いでした。
コートを上に着ていたので恥をかかないですんだけど、どれだけ私が宗教に関して無知かということを、その時実感しましたね。
柱のすぐ横の端っこに席を見つけ(私はシャイなので後ろの端っこが落ち着くのです)、
ほとんどチンプンカンプンの神父様のお説教を眠りそうになりながら聞いていました。
お説教が終わると、突然全員立ち上がり、長椅子の前に置いてある聖歌の本をとり、パラパラとページをめくり、全員聖歌を歌いだすのを、私はオタオタと遅れながら必死でみんなについていってました。
その時は聖歌集のどのページを開いたらいいのかわからず、なぜみんな歌うページ数がわかるのかすごく不思議でしたけど、ぼーっと突っ立っているのも変なので、適当にページを開いて、口をパクパクさせていました。
その日に歌う聖歌のページは、教会の祭壇の横上に番号が書いてあるということを、後で知りましたけどね。
ミサも終わりに近づき、美しいコーラスに感激して夢うつつになっていると、遠くからチャリーン、チャリーンという音が前の方から聞こえました。
教会の人がかごを持って、一人ひとりに献金を集めている音でした。
“げっ、お財布を持ってきていない!”
まさか教会でお金が必要だとは思っていなかったんですね~。歩いて来たし。
遠くからドキドキしながら観察をしていると、みんなお金をかごに入れているのが見えました。
クリスマスだからみんな気前がいいの?
端っこに座ってしまったので、席を立つには私の横に座っている人々を押しのけて出なければならない。
献金を”No Money”と言って断るか、横に座っている人に嫌な顔をされながら彼らの前をかきわけて献金の人が来る前に立ち去るか。きっと周りから“こいつ、献金をあげたくないから逃げたな”と思われるだろうな。
献金集めの人が来るまでのほんの数分間、私の頭はフル回転状態でした。
彼が私の列に来た時には、私はお祈りをしているかのように下を向き、彼が通り過ぎるのをじっと待ちました。
別に献金をしなくてもいいんだけど、ステキな聖歌隊を見せてくれた教会の人に悪いなぁとちょっと心が痛みます。